積み立てるときは「毎月自動で積み立てるだけ」でよかったのに、取り崩しはそうはいきません。やり方を間違えると、非課税で育てた資産を最大限に使えないまま終わってしまいます。実際に気をつけるべき点は5つに絞られます。具体的な金額の差もあわせて確認してください。
注意点①:一括で全額売却しない
まとまったお金が必要な場合でも、全額を一度に取り崩すのは避けましょう。2,000万円を一括売却した場合、その後の運用益を取り逃します。月10万円ずつ取り崩しながら年3%で運用継続すれば84歳ごろまで資産が持ちます。必要な分だけ売却して残りは運用し続けることが基本です。
注意点②:暴落時に慌てて売却しない
2,000万円が暴落で1,400万円(30%下落)になっても、全額売却すると600万円の損失が確定します。コロナショックは約6ヶ月、リーマンショックでも約5年で元の水準に戻りました。生活費の12〜24ヶ月分(300〜600万円)を現金で別に確保しておけば、NISAに手をつけずに回復を待てます。
注意点③:取り崩し順番を間違えない
正しい順番は「現金・預金 → 特定口座 → 新NISA」です。1,000万円の利益が出た場合、特定口座では約200万円が税金として引かれますが、NISAなら非課税のまま手元に残ります。特定口座に含み損がある銘柄は、利益が出ている銘柄と同じ年に売却して損益通算することで節税できます。
注意点④:取り崩しながら運用を続ける
「取り崩し=投資終了」ではありません。
| 方法 | 資産寿命(2,000万円・月10万円) |
|---|---|
| 全額現金化してから取り崩し | 約16年7ヶ月 |
| 年3%で運用しながら取り崩し | 約24年 |
| 年5%で運用しながら取り崩し | 約30年以上 |
運用を続けるだけで資産寿命が7〜13年以上延びます。取り崩し中も「インデックスファンドはそのまま保有」という姿勢が基本です。
注意点⑤:取り崩し額を決めずに感覚で使わない
毎月の取り崩し額は「生活費 − 年金受給額 = 毎月の取り崩し額」で先に計算して決めておきましょう。旅行や大きな買い物のための「特別支出」はNISAとは別に現金で確保しておくことをおすすめします。
取り崩しの実際の手続き
売却注文後、約定まで1〜2営業日、証券口座に現金化されるまで3営業日かかります。急ぎで資金が必要な場合は余裕をもって手続きを開始しましょう。銘柄によっては売却時に「信託財産留保額」(0.1〜0.5%程度)がかかるため、1,000万円売却なら1〜5万円の手数料になります。事前に確認しておきましょう。
事前確認しよう: 自分が保有している投資信託に「信託財産留保額」がかかるかどうか、今日証券会社のサイトで確認しておきましょう。売却コストが0円の銘柄も多く、知っておくだけで売るときの判断が変わります。
まとめ:取り崩し時の5つの注意点
- 一括売却せず、必要な分だけ分割して取り崩す
- 暴落時に感情的な全額売却をしない。生活防衛資金(300〜600万円)を別に確保しておく
- 取り崩す順番は「現金・預金 → 特定口座 → 新NISA」を守る
- 取り崩し中も残った資産は運用継続。年3%運用なら資産寿命が約7年延びる
- 毎月の取り崩し額を「生活費 − 年金 = 不足額」で先に決めておく
注意点は多く見えますが、事前に一つずつ確認しておけば怖くありません。準備した分だけ、取り崩しは楽になります。

54歳・会社員。旧NISAから積み立てを続け、気づけば定年まであと数年というタイミングに。いざ取り崩しを考えた時に「出口の情報がない」と気づく。金融庁や証券会社の公開資料をもとに、定年前後の普通の会社員目線で出口戦略を発信しています。


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