夫婦でNISAの話をしたことがありますか。「お互い口座を持っているけど、どう連携すればいいかわからない」という声は意外と多いです。一人で考えるより、二人分を合わせて設計した方が税負担も運用効率も良くなります。今回は夫婦でNISAを活用するための基本的な考え方を解説します。
夫婦の新NISA、どちらから取り崩すべきか
基本の順番は「現金・預金 → 特定口座 → 新NISA(夫)→ 新NISA(妻)」です。夫婦どちらのNISAを先にするかは主に年齢差と退職時期で判断します。
年上の配偶者のNISAを先に使い始める方が合理的なケースが多いです。年金受給開始が早く不足額が生じるタイミングが早いこと、相続対策として年上の方の資産を生前に計画的に使うことで相続財産を整理できることが理由です。先に退職した配偶者のNISAから取り崩し始め、後から退職する配偶者のNISAは長く運用を続けることで、資産全体の寿命を延ばせます。
夫婦合計の毎月の不足額を計算する
二人それぞれの年金見込み額はねんきんネットで確認できます。
夫婦の生活費28万円・夫の年金12万円・妻の年金8万円の場合、毎月の不足額は28万円−20万円=月8万円です。この月8万円がNISAから補填すべき金額になります。
| 夫婦合計NISA資産 | 月の取り崩し額 | 資産寿命(年3%運用) |
|---|---|---|
| 2,000万円 | 月8万円 | 約30年(90歳まで) |
| 2,000万円 | 月15万円 | 約14年(74歳まで) |
| 3,600万円 | 月10万円 | 約50年以上 |
| 3,600万円 | 月15万円 | 約30年以上(90歳まで) |
退職金との組み合わせ方
使う順番は「夫の退職金 → 妻の退職金 → 夫婦の現金・預金 → 特定口座 → 夫のNISA → 妻のNISA」です。退職所得控除は勤続35年で1,850万円まで非課税になります。退職金をできるだけ長く生活費に充て、NISAの取り崩し開始を遅らせることでNISA資産の運用期間が延びます。
配偶者が亡くなった場合の相続の扱い
配偶者が亡くなると新NISA口座は死亡日に廃止され、保有資産は相続人の特定口座に移管されます。移管時の時価が新たな取得価格となるため亡くなる前の値上がり分には税金がかかりませんが、移管後の値上がりには約20%の税金がかかります。NISAの非課税メリットは相続で引き継がれません。
最も現実的な相続対策は「二人でいる間に計画的に取り崩して使い切ること」です。
夫婦で共有しておくべき3つのこと
片方が亡くなったときに残された配偶者が困らないよう、以下を今のうちに確認しておきましょう。どの証券会社にどの口座があるかを一覧にすること、毎月の取り崩し計画を共有しておくこと、証券会社のログインIDとパスワードをエンディングノートなど安全な場所に保管しておくことの3点です。
パートナーと話してみよう: 今日、配偶者と「お互いのNISA残高と証券会社」を確認し合ってみてください。それだけで夫婦の出口戦略の第一歩が始まります。口座情報をメモして共有の場所に保管するところまでできれば十分です。
まとめ:夫婦二人分の出口戦略で押さえるべきポイント
- 基本の取り崩し順番は「現金・退職金 → 特定口座 → 年上・先退職の配偶者のNISA → もう一方のNISA」
- 夫婦合計3,600万円・月15万円取り崩し・年3%運用なら30年以上持つ
- 退職金は非課税枠(勤続35年なら1,850万円まで)を活用して先に使い切る
- NISAの非課税メリットは相続で引き継がれない。二人でいる間に計画的に使う
- 口座情報・取り崩し計画・ログイン情報を夫婦で共有しておく
夫婦でNISAの話をするきっかけは、意外と「記事を一緒に読む」ことだったりします。この記事がそのきっかけになれば嬉しいです。

54歳・会社員。旧NISAから積み立てを続け、気づけば定年まであと数年というタイミングに。いざ取り崩しを考えた時に「出口の情報がない」と気づく。金融庁や証券会社の公開資料をもとに、定年前後の普通の会社員目線で出口戦略を発信しています。


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