「この資産、何年もつんだろう」——老後のお金への不安って、実はこの一言に尽きると思います。漠然と不安なのは、具体的な数字で考えたことがないからです。今回はシミュレーションの考え方と、すぐに自分の状況に当てはめられる計算例を一覧表で示します。
取り崩しシミュレーションが必要な理由
たとえば「2,000万円あれば安心」と思っていても、毎月15万円取り崩せば約14年で底をつきます(年3%運用でも)。一方で毎月8万円の取り崩しに抑えれば約30年以上もたせることができます。この差を事前に把握しておくことが老後の安心につながります。
シミュレーションに必要な3つの数字
①現在のNISA資産残高(証券会社のアプリで確認)、②毎月の取り崩し額(生活費−年金収入)、③想定運用利回り(保守的なら年3%、標準的な想定は年5%)の3つだけです。
資産残高別・取り崩し額別シミュレーション一覧
資産1,000万円の場合
| 月の取り崩し額 | 運用なし | 年3%運用 | 60歳開始の場合 |
|---|---|---|---|
| 月3万円 | 約27年 | 約42年以上 | 87歳〜102歳以上 |
| 月5万円 | 約16年7ヶ月 | 約24年 | 76歳〜84歳 |
| 月8万円 | 約10年5ヶ月 | 約13年 | 70歳〜73歳 |
| 月10万円 | 約8年4ヶ月 | 約10年 | 68歳〜70歳 |
資産2,000万円の場合
| 月の取り崩し額 | 運用なし | 年3%運用 | 60歳開始の場合 |
|---|---|---|---|
| 月5万円 | 約33年 | 約50年以上 | 93歳〜110歳以上 |
| 月8万円 | 約20年10ヶ月 | 約30年 | 80歳〜90歳 |
| 月10万円 | 約16年7ヶ月 | 約24年 | 76歳〜84歳 |
| 月15万円 | 約11年1ヶ月 | 約14年 | 71歳〜74歳 |
資産3,000万円の場合
| 月の取り崩し額 | 運用なし | 年3%運用 | 60歳開始の場合 |
|---|---|---|---|
| 月8万円 | 約31年 | 約52年以上 | 91歳〜112歳以上 |
| 月10万円 | 約25年 | 約37年 | 85歳〜97歳 |
| 月15万円 | 約16年7ヶ月 | 約24年 | 76歳〜84歳 |
| 月20万円 | 約12年6ヶ月 | 約17年 | 72歳〜77歳 |
運用しながら取り崩すと資産寿命が5〜10年以上延びます。全額を現金化してから取り崩すのではなく、必要な分だけ売却して残りは運用し続けることが基本です。
4%ルールとは何か
資産残高の年4%以内に取り崩し額を抑えれば、資産はほぼ無限に持つという考え方です(トリニティスタディに基づく)。
- 資産1,000万円 → 月約3.3万円以内
- 資産2,000万円 → 月約6.7万円以内
- 資産3,000万円 → 月10万円以内
米国株式市場のデータに基づくため日本の状況がそのまま当てはまるわけではありませんが、取り崩し額の目安として参考になります。
定額取り崩しと定率取り崩しの違い
定額取り崩し(毎月一定額)は生活設計が立てやすく初心者向けです。定率取り崩し(残高の一定割合)は相場が下がると取り崩し額が自動的に減るため資産が長持ちしやすい反面、月々の収入が安定しません。
資産2,000万円・年4%定率の場合、1年目は月約6.7万円。資産が1,500万円に減ると月約5万円に自動調整されます。まずは定額から始めて慣れてきたら定率に切り替えるのも一つの方法です。
取り崩しを長持ちさせる3つのコツ
- 相場が良いときに少し多めに取り崩して現金を確保しておく
- 取り崩し額を月1万円減らすだけで資産寿命が2〜3年延びる(2,000万円の場合、月10万円→月9万円で約24年→約27年)
- 年金繰り下げ(65歳→70歳)で月6.3万円減らせれば、資産寿命への影響は10年以上
表で確認しよう: 自分の資産残高と毎月の不足額(生活費-年金)を上の一覧表に当てはめて、資産が何年もつか確認してみてください。数字にするだけで不安が具体的な計画に変わります。
まとめ:シミュレーションで老後の不安を数字に変える
- シミュレーションに必要な数字は「資産残高・毎月の取り崩し額・運用利回り」の3つだけ
- 運用しながら取り崩すと資産寿命が5〜10年以上延びる
- 4%ルール:2,000万円なら月6.7万円以内が目安
- 定額取り崩しは生活設計しやすく初心者向け。定率取り崩しは資産が長持ちしやすい
- 取り崩し額を月1万円減らすだけで資産寿命が2〜3年延びる
まずは自分の資産残高と毎月の不足額を上の表に当てはめて、資産が何年もつかを確認するところから始めてみましょう。
数字にしてみると「意外と大丈夫かも」と思えることが多いです。不安なままにしておくより、一度計算してみることをお勧めします。

54歳・会社員。旧NISAから積み立てを続け、気づけば定年まであと数年というタイミングに。いざ取り崩しを考えた時に「出口の情報がない」と気づく。金融庁や証券会社の公開資料をもとに、定年前後の普通の会社員目線で出口戦略を発信しています。


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